スポーツ選手のタトゥー( 入れ墨)を考える

現在、ロシアでサッカー・ワールドカップ(W杯)が開催されているが、日頃サッカーに関心のない人でもW杯はテレビ観戦する。そうした中で、優勝候補(前回準優勝)のアルゼンチン代表が、クロアチアに負けてグループリーグ敗退の危機にあることで、昨日の各紙は同代表のエース・メッシ選手のカラー写真を大きく掲載した。その写真を見て、我が輩は驚いた。つまり、メッシ選手の右手の半袖から出ている部分が、タトゥー(入れ墨)に覆われていたからだ。

我が輩が驚いたには理由がある。昔、在日韓国人のパチンコ社長(五十代前半)と知り合ったが、この社長は毎週2〜3日ゴルフ場に行っていた。あまりにもゴルフ場に行くので、「こんなにゴルフ場に行って、会社の方は大丈夫ですか」と尋ねたこともある。ある時、この社長がこんなことを言った。

「たまには、ヤクザの人と一緒にゴルフをする。だが、奴らはすぐに息を切らしてしまう。なぜかというと、奴らは身体の多くに入れ墨があるので持久力がない。つまり、皮膚呼吸が出来ないので、すぐに『ハー、ハー』と言い出して、仲間から遅れ出すのだ」

この話しを聞いていたので、今まで「入れ墨があると、皮膚呼吸が出来ないので持久力がない」と考えていた。そこで、昨夜ネットで調べると、「両生類でもあるまいし、そんなのウソだ」という意見が投稿されていた。さらに、医学関係者も「はっきりと運動量に影響あるとは証明されていない」と投稿していた。だから、今では良くわからないという心境になっている。

しかしながら、ネットには、タトゥーがプレーのパフォーマンス低下を招く可能性があるとの研究結果が、ドイツで報告されているという投稿があった。もう少し詳しく記すと、

ーケルン体育大学のインゴ・フロベーゼ教授がタトゥーとサッカー選手との関係を研究。タトゥーに使用されるインクの60〜70%は皮膚から血管にまで達して、体内の血液循環に影響を与えることや、範囲の大きなタトゥーが皮膚の発汗機能や体温調節機能を阻害することを指摘したという。一つのタトゥーを身体に入れると、しばらくはフィジカル面で3%から5%ほどパフォーマンスが低下する。ー

我が輩は、以前からラグビーの大学やトップリーグの試合を観戦しているので、タトゥーには多少不感症になっている。その背景には、試合に出場する多くの南太平洋諸国出身の選手が、タトゥーがあるからだ。そこで、ラグビー評論家・藤島大氏のタトゥーについての解説を聞こう。

ータトゥー。ポリネシアでは「タァタウ」と呼ばれる。もともとはタヒチ語だ。

J SPORTS」の解説をしていて、選手のそれが大写しになると、つい「これはサモアやトンガやマオリの人たちにとっては家系や宗教儀式とも密接な伝統文化なのです」と説明してしまう。どこかに「視聴者に誤解されないように」という心理がひそんでいる。日本の入れ墨は、かつて刑罰として用いられた(職人などが自分の意思で施すのは彫り物)。どうしても印象はよくない。ー

ということであるが、このタトゥーが今や世界のサッカー界まで広がっている。例えば、ブラジル代表のエース・ネイマール選手も、身体にタトゥーを入れている。我が輩は、イチロー選手のように“一流選手はパフォーマンス維持のために摂生に努めている"と思っていたので、余計に驚いたのだ。

詰まるところ、入れ墨は健康に悪くないのか、一流運動選手のパフォーマンスに影響を与えないのか、さらに青少年に悪影響を与えないのか、等々と考えるのだ。サッカーやラグビーなどは、一部と言っても、半袖からタトゥーを大衆の前にさらすことになる。現代社会におけるスポーツ選手の影響力を考えると、世界のスーパー選手のタトゥー増加傾向は、多少心配している。特に日本社会では、入れ墨は裏社会の象徴で、犯罪社会と根強く繋がっている以上、入れ墨に対する拒否反応は非常に強い。だから、なおさらスポーツ選手のタトゥーの増加傾向に、心配しているのだ。