なぜ故にオホーツク沿岸地域は学力が低いのか

文部科学省が、2013年4月に実施した小学6年生と中学3年生の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の結果を受けて、筆者は4年前に「オホーツク斜面」(13年11月9日)という文章を作成した。本年度も4月に、道内の約7万3千人の児童・生徒を対象に、「学力テスト」(共に国語A、国語B、算数A、算数B<「A」は基礎的な力、「B」は応用力を見る問題>)を実施した。その結果を受けて、北海道教育委員会は11月27日、道内14管内の地域別平均回答率(%)を公表したが、残念ながら、今回は胆振管内が「悪天候で大半の学校が当日実施できなかった」という理由で、平均回答率は道内13管内の公表になった。

そこで筆者は、道内13管内の「平均回答率」(4教科)の“平均値"を出して、地域間の比較をしてみた。先ずは、小学6年生の“平均値"を並べてみると、上位から①檜山65.7%、②上川63.6%、③石狩63.6%、④渡島63.0%、⑤留萌62.8%、⑥釧路62.7%、⑦空知61.7%、⑧後志61.6%、⑨十勝60.7%、⑩宗谷60.4%、⑪根室60.2%、⑫オホーツク59.6%、⑬日高58.6%という順位になった。

続いて、中学3年生の“平均値"を並べてみると、上位から①石狩66.4%、②留萌65.5%、③十勝65.0%、④上川64.6%、⑤檜山63.9%、⑥空知63.8%、⑦後志63.1%、⑧渡島63.0%、⑨釧路63.0%、⑩オホーツク61.6%、⑪根室60.2%、⑫宗谷59.7%、⑬日高59.3%という順位になった。

特に、中学3年生の“平均値"を比較すると、やはり筆者の故郷・オホーツク沿岸地域が下位に並んでいる。朝日新聞(北海道版)によると、地域や都市の規模による差が依然として続いていることを明らかにするとともに、道教委からは「縮まる傾向にある」という説明を引き出している。しかしながら筆者は、この半世紀間、全く状況は変わっていないと思うのだ。

即ち、半世紀前に筆者が通っていた滝上中学校の教師が言った「オホーツク斜面」(オホーツク沿岸地域は学力が低いという意味)という状況から、何ら変わっていないという現実である。それでは、どのような理由で、一向にオホーツク沿岸地域の宗谷・オホーツク・根室各管内と、プラス日高管内の学力が低迷しているのか。その原因は、色々あると考えるが、その中の一つに“親の経済力"もあるのではないのか。その意味で、次回の公表の時には、是非とも「1人あたり県民所得」(内閣府)と同じ“1人あたり管内所得"を公表して欲しいと思う。

このほか、今回の公表を見て、やはり札幌市の学力の高さが、北海道全体の「平均回答率」を上げていることがわかった。つまり、札幌市の「平均回答率」の貢献がなかったならば、北海道の「学力テスト」の結果は、相当悲惨な結果になった。その意味では、札幌市の学力は、それなりに高いので、それを如何に「オホーツク斜面」地域まで広げるかが、今後の課題と考えるのだ。