「毎月分配型」投信の実態を知っていますか

以前から薄々感じていたことであるが、これほど「毎月分配型」投信が酷い商品とは知らなかった。先ずは、最近発売の週刊誌「週刊ダイヤモンド」(9月23日号)の記事から紹介する。

<森長官の逆鱗に触れて撃沈ー資金流出に転じた毎月分配型>

運用収益の一部を毎月受け取れる「毎月分配型」投信。20年前に日本に登場して以降、毎月お金が振り込まれる安心感や生活費への充当など退職者たちのニーズに合致したことで、絶大な人気を誇ってきた。

だがその実態は、純資産から分配金を取り崩しているだけの「たこ足」状態のファンドばかりで、資産形成には不向きな投信だ。にもかかわらず、金融機関のもうけが大きく、売れ筋のテーマを冠した毎月分配型投信が続々と投入されてきた。

そんな毎月分配型偏重の販売姿勢にメスを入れたのが、森信親・金融庁長官だ。森長官が「顧客本位」の姿勢を求め、毎月分配型投信がやり玉に挙げられとみた各社は一斉に販売を自粛。下図(10年下期から17年上期の棒グラフ)のように、半期ごとの資金流出入を見ると、直近の1〜6月(上期)は2010年以降で初の流出に転じることとなった。

毎月分配型が長期の資産形成に不向きなのは確かだが、ファイナンシャルリサーチの深野康彦代表は「年金は偶数月しか入ってこないため、高齢者がストレスなく資産を取り崩す仕組みを買う商品としては有用」と説く。かつての不健全なブームが過ぎ去った今こそ、目的をよく自覚した上で活用したい。

さらに、新刊本「投資なんか、おやめなさい」(著者=荻原博子新潮新書)も読んだ。その中にも、項目「こんなクズ商品には手を出すな」で、「毎月分配型」投信の酷い実態を説明していた。

<QUICK資産運用研究所が、2016年10月に、1484本の「毎月分配型投信」について調べたところ、買って1年間保有し続けたとすると、8割の投信が分配金の半分以上を元本から削って支払う状況になっているということでした。全額を元本から出しているものも2割(286本)あったそうです。タコが自らの足を食べる、いわゆる「タコ足」配当状態になっているということです。そして驚くことに、この中で運用益だけで分配金をまかなえるのはたった2%(37本)。>

長々と「毎月分配型」投信の実態を紹介したが、実は、我が輩はこれまでに10本近くの「毎月分配型」投信を購入した。このうちの2本(米リート)は大成功であるが、その外は失敗と言える。つまり、我が輩は証券会社の営業マンにとって、“いいカモ"であった。

しかしながら、人気ナンバーワンの「毎月分配型」投信に投資された金額35兆円を考えると、我が輩だけではなく、多くの個人投資家が“いいカモ"になっていたのだ。つまり、金融機関は“お客様の利益"よりも、“自社の利益"を考えていたことが明らかになった。

最後は、荻原氏からの忠告を紹介したい。

<多くの方は、今まで「投資」のことなど考えずに、朝から晩まで働き続けてきたのではないでしょうか。商店や中小企業の経営者などは、お金のことで頭を悩ませながら切った張ったの商売をしてきた方が多いので、リスクに敏感で「投資」には向いているかもしれません。けれどサラリーマンだと、仕事ではいろいろなリスクがあったかもしれませんが、経済的な面では毎月一定額の給料を振り込まれるのでより多くお金を稼ぐということをあまり考えない生活をずっと続けてきたという人も多いでしょう。

こうした、金銭的には守られた生活を40年近くしてきた人が、いきなり「投資」をしようと思うと、よくわからないので専門家に聞こうとします。中には、退職金を手に銀行に行って、「投資には、どれが良いの?」と金融商品についてたずねる人もいます。

だだ、これは、カモにネギを背負って鍋に飛び込むようなもの。銀行の窓口の人の肩書きは「ファイナンシャルプランナー」かもしれませんが、実は相手はセールスマン。友達や、親子、親戚なら別かもしれませんが、あなたのことをよく知らない相手に、大切な財産を託すなどというのは愚の骨頂です。>

まことに的を得たアドバイスと思う。つまり、収益の悪化に苦しむ金融機関は、個人をターゲットに“手数料ビジネス"に生き残りをかけているからだ。だが、我が輩は、損失を抱えて撤退するつもりはない。何故なら、第2次安倍内閣発足時(12年12月26日)の日経平均株価1万230円から、現在は2万円を超える水準まで回復した結果、金融資産も少しずつ投資額に近づき、いつの日にか損失を解消出来ると考えているからだ。