数値から見えた老化現象の速度

今月も定期購読の情報誌「選択」を読み終えた。その中で、「小さくなっていく日本人」(著者=米国在住内科医・大西睦子)が勉強になったので、紹介することにした。先ずは、少し長くなるが、一部を抜粋したい。

○日本人の平均身長は、1960年代初期に生まれた世代で頭打ちになった。栄養状態が改善されて、遺伝的な潜在能力の上限に達した可能性がある。ただし、気がかりなのは、男性は79年、女性は77年に生まれた世代をピークに、毎年平均身長が少しずつ小さくなっていることだ。

○男女とも30歳頃から身長の低下が始まり、その速度は加齢に伴って高まり、特に70歳以降に加速する。具体的には、男性だと30〜70歳までの間に平均3㌢、80歳までに平均5㌢、身長が縮んだ。女性は30〜70歳までの間に平均5㌢、80歳までに平均8㌢と、より大きく減少した。

○顔の骨も加齢に伴い縮小し、周りの筋肉や皮膚がシワとなり老け顔になる。…筋肉組織の量と質の低下は、40歳代より前に始まるとも言われ、そして徐々に減少していく。以前の研究報告では、40歳以降、一般的には10年代ごとに、8%以上の筋肉量を失い、さらに70歳以降に加速するということだった。

○そして脳。脳の重さは出世時に約400㌘で、青年期までに約1・2〜1・4㌔まで大きくなるが、20歳を超えると発育が止まり少しずつ小さくなる。特に、脳の重さは、40歳以降、10年ごとに約5%の割合で減少し、70歳を超えると加速する可能性が広く知られている。

○生活の質の高い自立した人生を送るためには、痩せるより、痩せないように努力することの方がよっぽど重要だ。…米国所得トップ1%の平均寿命は男性87・3歳、女性88・9歳だ。米国人は太って不健康なイメージがあるかもしれないが、裕福な人たちはバランスのいい食事をしっかり取って体の機能を維持し、自立した生活を楽しんでいる。日本人も、そろそろ痩せ信仰はやめて、もっとしっかり食べるべきだ。

筆者も、年をとると身長が縮むことは理解していたが、これほどはっきりした数値を初めて知った。筆者の友人の一人も、身長が2㌢以上縮んだと嘆いていたが、何ら不思議なことではなかった。また、痩せるだけが、健康の秘訣ではないことも理解できたと思う。

このほか、気になる記事が3本あったので、紹介する。

○米国の「学生ローン」が大変な状況にあるという。既に学生ローン利用者が4420万人に達し、その債務総額は1・34兆ドルで、自動車やクレジットカードのそれを上回っている。学生ローン残高20万ドル以上は40万人で、60歳以上が急増して今や280万人にもなり、全体の6・4%を占めている。その債務総額は660億ドルと、60歳以上だけで日本学生支援機構の年間貸与総額1兆円の6倍という。

自衛隊の中に、中国人の「親・妻」を持つ隊員が増加中という。13年に報じられたデータによれば、外国人と結婚した者は14万人の陸上自衛隊員のうち約500人、4万2000人の海上自衛隊員の中で200人、4万3000人の航空自衛隊員のうち100人。総計で800人の配偶者が外国人で、このうち7割弱を中国人が占めた。

福島第一原発廃炉計画、「技術戦略プラン」の策定が大詰めを迎えているという。ところが、原子力専門家の中には「3基合わせて、約880トンの燃料デブリのうち、回収できるのはせいぜい半分」と発言している者がいる。また、別の原子力関係者は「おそらくチェルノブイリ方式しなないだろう」とつぶやいているという。

以上、気になる記事を紹介したが、コメントは致しません。聡明な皆さんが、自分なりにこの情報を消化して下さい。それにしても、我々の周りには、北朝鮮の核脅威、世界的な格差社会、AI(人工知能)の脅威的な進化がある。でも、私たち国民は、しっかりと現状を把握して、世界の動きについて行きたいと考えている。