高校総体出場選手の削減に向けて

昨年の4月6日、経費削減を目的に題名「高校総体の規模は縮小すべき」という文章を作成した。そうした中で、今月発売の月刊誌「月刊陸上競技」(6月号)が、筆者の見解を補足する記事を掲載した。題名は「インターハイ地区大会『突破記録』一覧<過去3年間の“ボーダーライン最高記録>」で、全国11地区大会の結果を調査し、過去3年間で最も高水準だった「6位記録」を表にまとめたものである。各地区の記録水準を一覧表にすることで、11地区の“地域格差"が見えた。

その内容を紹介すると、やはり近畿地区の突破記録が高い。男子21種目中12種目、女子17種目中11種目(走高跳は4地区が同記録)で、突破記録が11地区中トップを占めた。次いで男子は南関東が5種目、東海と東北が各2種目でトップを占めた。女子は東海と南関東が3種目、北関東が2種目、中国が1種目でトップを占めた。

一方、突破記録が低い地区は、当然のごとく北海道と四国であった。男子は北海道が12種目、四国が5種目、北九州と南九州が各2種目を占めた。女子は北海道が10種目、南九州が5種目、四国が3種目を占めた。なお、南九州の2種目(百㍍と二百㍍)は、向風が強いために突破記録が低くなった。

という訳で、やはり北海道と四国の突破記録が低かった。その背景には、人口が少ない地域は、当然のことに生徒数も少ないので、突破記録が低くなる。それを考えると、北海道地区と四国地区のインターハイ出場資格を削減することは、何ら問題はないと思う。

今回の月刊誌が、筆者の見解を地区大会の記録面から裏付けてくれたことに対し、大変感謝している。いずれにしても、生徒数が減少している中で、インターハイの出場枠を、生徒数が多かった時代と同数(種目増加で、逆に増加している)にしていることは、許されないと思うのだ。

ところで、筆者が、この問題を提議した理由は、もう半世紀前の記憶にある。高校2年生の時、某教諭(野球部顧問)が授業中に、ある話題の中で「今年、全道大会で優勝(走り高跳び1.82㍍)した生徒はインターハイに出場するが、6位になった生徒は出場しない。あの記録では、出場しても意味がない」旨の話しがあった。そして後日、再びこの教諭が「全道大会6位の生徒は、やはりインターハイに出場する。記録が悪いからと言って、勝手に出場を辞退することは出来ないようだ」と話した。つまり、当時から全道大会4〜6位選手は、インターハイに出場しても意味がないことを、多少陸上競技界のことを知っている教諭ならば、予想できたのだ。

筆者は、その頃から月刊誌「陸上競技マガジン」を読み始めたが、まだ、その教諭が言わんとする背景を理解出来なかった。だが、その後、陸上競技の専門誌を一冊も欠かさずに購入し続けた結果、その教諭の言わんとすることが理解できた。つまり、北海道大会の4位以下でインターハイの出場権を獲得しても、予選通過どころの話しではなく、予選の中でも下位に沈む選手が多いことを知った。

最後は、半世紀にわたる“陸上競技ファン"として、北海道の陸上競技界について説明したい。北海道は、けして競技レベルが低い地域ではない。インターハイでは、毎年1〜2名の選手が優勝しており、それなりの存在感を示している。ただ、トップクラスの選手層が薄いのだ。今後の期待は、北海道から南部忠平以来のゴールド・メダリストが出ることだと思っている。