国と国民を守るのは地方出身者か!

3月7日付け「産経新聞」の紙面(千葉版)に、県内から自衛隊に入るたちの門出を祝う「県自衛隊入隊・入校予定者激励会」の記事が掲載された。入隊・入校予定者は、約220人という。一方、北海道の遠軽地区でも3月4日、「平成28年度遠軽地区自衛隊予定者壮行激励会」が開催された。入隊予定者は21人という。

そこで筆者は考えた。つまり、遠軽地区は人口の割りには、入隊予定者が多いのでないか。遠軽地区(遠紋地方)の人口は約7万人で、千葉県は約620万人であるので、遠軽地区は人口百人当たり0・03人、千葉県は人口百人当たり0・0035人の割合で入隊予定者がいる。それを考えると、やはり遠軽地区は、千葉県よりも10倍倍率が多い。ちなみに、遠軽高校を卒業して入隊した人数は、2年前は24人(就職者58人)、昨年は23人(就職者66人)であるので、例年ならばもっと倍率が大きかった。

思い返すと、もう半世紀近く前になるが、筆者の同級生で入隊した生徒は、二人くらいと記憶している。なぜ少ないかというと、筆者の知見の範囲であるが、当時は教師の日教組加入率が高く、入隊を後押しする教師が少なかったからと思う。それだけ、教師の影響力は大きいのだ。

もう少し、具体的に言おう。ある朝、ある教師が、校門前でビラを配り始めたところ、校内から校長ら2〜3人が出てきて、ビラ配りの教師との間で、何やら口論が始まった。我々生徒は、校舎の二階から眺めて「やれやれ」と面白がって声を出し、授業の一時間目が中止になった。つまり、当時の校内は、日教組の影響か、自衛隊に対して“冷たい感じ"を受けていた。

ところが、この20〜30年、地元に産業がないことや、公務員志向が強いことを背景に、入隊する生徒が増えているようだ。更に、地方出身者は、郷土愛が強いことから愛国心に繋がり、入隊する生徒が増えたと思う。その意味で、地方は戦前と同じように“自衛隊員の供給源"になっている面がある。

という訳で、遠軽町には陸上自衛隊が駐屯していることから、昔から自衛隊に就職する生徒が多いと思われるが、実際には違うのだ。現在では、自衛隊員が何らかの記念日に街中をパレードしており、昔に比べて街中の雰囲気も、教師の考え方もだいぶ変わってきたのかもしれない。

今回、自衛隊のことを取り上げたのは、朝鮮半島情勢が緊迫し、日本をとりまく安全保障環境が厳しさを増してきたからである。そのような状況下で、日本の防衛を担っているのが、遠紋地方のような地方出身者が多いということを知って欲しいのだ。