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欧米諸国はロシアを警戒している

最近の雑誌や本を読んでいると、それなりの著名人が「米国や欧州のロシアに対する警戒心は、日本人が想像するよりも遥に強いものがある」旨の発言をしている。更に最近、NHK・BSで放送された番組「ロシア人の本音」を観ると、明らかに我々民主主義国家の国民と違う意見を述べている。例えば、多くのロシア人が「何でも勝たなけれダメだ。ドーピングも勝つための手段として許される」などと正々堂々と述べている。これでは、国際法を無視しての「クリミア併合」や、不法占拠の「北方領土」を返還しないことなど、ロシア当局にとっては当然の帰結である。つまり、ロシア人は、欧州の一員であるが、明らかに近代国家としての価値観や素養がないので、尚更、欧米諸国はロシアを警戒するのだ。

そうした中で、最近発売された週刊誌「日経ビジネス」(2016.11.28)の中の記事、「NATOとの対決姿勢強めるロシアープーチン来日の狙いは」(文章=熊谷徹・在独ジャーナリスト<元NHKワシントン支局員>)を紹介したい。何故なら、具体的に欧米諸国とロシアの対立軸を解説しているからだ。

○ロシアと欧州諸国との軍事的な緊張が高まりつつあり、「東西冷戦」の可能性が再燃していることはそれほど知られていない。対立のきっかけは2014年3月のクリミア併合だ。…それ以後、NATOでは「ロシアが次に狙うのはバルト3国」という見方が強まっている。

○バルト3国の問題は、ロシア系住民の多さだ。ラトビアのロシア系住民比率は25.8%。エストニアは25.1%、リトアニアは4.8%がロシア系だ。…ウクライナもロシア系住民の比率が17%と比較的高く、クリミア半島では住民の約60%がロシア系だった。つまり、「ロシア系住民の権益を守る」という大義名分が、バルト3国に対しても使われる可能性がある。

○攻防の焦点がポーランド北東部のスバルキという町だ。ロシアはバルト海に面したカリーニングラード(旧ケーニヒスベルク)周辺に飛び地を持つ。…飛び地からベラルーシまでの100㎞の地峡部を意味する「スバルキギャップ」という単語は、欧米の外交官や軍事関係者の間で頻繁に使われている。NATOは「東西間の対立が高まった場合、ロシア軍の戦車部隊がベラルーシからカリーニングラードへ向けて進撃する」と警戒している。

○2013年、ロシアはカリーニングラード周辺で7万人の兵士による大規模な軍事演習を実施した。対空ミサイルを配置したほか、今年10月には核弾頭を装備できる地対地ミサイル「イスカンデル」を配備したばかりだ。それに対し、NATOは今年7月にポーランドワルシャワで開いた首脳会議で、ポーランドとバルト3国にそれぞれ1000人規模の戦闘部隊を駐屯させることを決定した。

以上の文章に付け加えると、11月28日に英国とポーランドの両首相が会談し、英国が来年4月にポーランド北東部に150人の兵士を派遣すると表明した。一方、ロシアは東欧の国境付近に33万人の兵士を集結させているという。

即ち、プーチンの日本訪問は、欧州で緊張状態が続いているので、経済活動を東方に向けただけだ。その意味では、国民は肩すかしをくらったが、その原因は、日本のメディアがロシアの“領土欲"を理解しないで報道したからだ。いずれにしても、東アジアの南シナ海東シナ海では中国軍の海洋進出で緊張が、欧州ではロシアの“失地回復"の動きで緊張が高まっている。それを考えると、今後も世界情勢を把握して行きたいと考えている。