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北方領土交渉では“法と正義" を貫け!

今年9月の「12月15日、山口県で安倍首相とプーチン大統領が会談する」との報道後、北方領土でどのような合意があるのかで、この2ヶ月間、心配で心配で仕方がなかった。そうした中、ロシア側から北方四島を返還せず、身勝手な「共同経済活動」の先行を求めたことで、日本側も多少腰を引く発言が出てきて、ある面安心した。

そこで、北方領土問題では、筋が通っている日本共産党の主張を紹介したい。11月4日付け「産経新聞」に掲載された小池晃共産党書記長の発言内容である。

菅義偉官房長官に先日、ロシアとの領土交渉では全千島列島の返還を求めるよう申し入れました。

第二次世界大戦では、連合国側の大原則は「領土不拡大」。千島列島は1875年の樺太・千島交換条約などで平和裏に日本の領土として画定しています。ところが旧ソ連連合国の方針に反し、1945年2月のヤルタ会談で千島列島の移譲を求め、米英両国が応じました。これは領土不拡大という戦後処理の原則に明白に違反するものです。

この誤りをただすところから始めないと、道理ある領土交渉になりません。歯舞群島色丹島は千島列島ではなく、北海道の一部。サンフランシスコ講話条約で放棄した千島列島には入らないので、2島先行返還はあり得ます。その場合も、日露の国境線を画定することになる「平和条約」を結んではなりません。それでは国後、択捉両島ですら返ってこないでしょう。ロシアは覇権主義的な国ですから、生半可な姿勢じゃ交渉は出来ないと思いますよ。

日本共産党の主張は、以前から知っているが、日本の政党の中では一番筋が通っている。日本政府は現在、南千島などの四島を取り上げて、ロシア側と領土交渉をしているが、本当に“法と正義"を貫き通すならば、旧ソ連軍に不法占拠された南樺太と北千島も返還要求すべきである。

要するに、日本政府は米ソ冷戦時代、旧ソ連が“返還に応じる可能性がある"として、北方四島だけを返還要求することにした歴史がある。つまり、領土交渉では“現実的"として引き下がると、将来にわたって禍根を残すことになる。だから、最初から正々堂々と南樺太と全千島の返還を要求するべきであった。

それでは、北方領土四島の面積と占有率を確認したい。択捉島3168平方㌔㍍(63%)、国後島1490平方㌔㍍(30%)、色丹島251平方㌔㍍(5%)、歯舞群島95平方㌔㍍(2%)で、総面積は計5003平方㌔㍍(千葉県とほぼ同じ)である。ところが、そこに南樺太36090平方㌔㍍、北千島5697平方㌔㍍を加えると、総面積は46445平方㌔㍍(九州・沖縄とほぼ同じ)になる。つまり、北方四島の面積は、旧ソ連軍に軍事占拠された領土の11%弱だけなのだ。もしも、2012年3月のプーチン発言「引き分け」を当てはめると、日本側には全千島と南樺太の南部が入る。

筆者は、考えるのだ。例えば現在、日本政府は北朝鮮による拉致被害者救出では、8割だ、半分だ、ではなく全被害者帰還を目指して交渉している。そうであるならば、なぜ故に北方領土交渉では、全ての不法占拠の返還要求をしなかったのか。日ソ中立条約という国際法を侵し、不法占拠する旧ソ連に対して、理屈に合わない領土返還要求をするべきではなかった。このような国際法の違反国の要求を受け入れることは、文明以前への逆戻りで、文明の抹殺と考えるのだ。

更に、筆者が一番疑問に感じることは、“今、日本が北方領土返還を目指す時なのか"ということである。筆者は、絶対にその時ではないと考える。もう少し待てば、絶対に良いチャンスがくるハズだ。機が熟していないと考えるのだ。例えば、ロシアと国境を接する欧州諸国を見ると、北からフィンランドバルト三国ポーランド、ドイツ、チェコスロバキアハンガリールーマニアとの間では、潜在的な国境問題を抱えている。更に、トルコ、イラン、中央アジア諸国、中国などとも、多少の領土問題を抱えている。つまり、将来的には、絶対に領土問題が蒸し返される時代がくるハズで、その時に対ロシア交渉を行うべきなのだ。その歴史観が重要で、その時まで焦らずに待てば良い。我々は、既に70年間待ってきたではないか!