JR北海道の重要路線は維持せよ

JR九州が今月25日、東京証券取引所に株式を上場したが、その直前に証券会社から「JR九州の株に関心がありませんか」との問い合わせがあった。筆者は「JR北海道が上場するなら考えても良い」と応じたが、本心はJR北海道が上場出来るハズがないと思いながら応じたのだ。

それを裏付ける動きを「北海道新聞」(今月26日付け)が報道している。それは、JR北海道が「廃止を検討する区間」に富良野新得間など3区間、「単独では維持困難な路線」に旭川〜網走間、名寄稚内間、釧路〜根室間、釧路〜網走間、更に「協議の対象となる可能性がある区間」に旭川〜名寄間、帯広〜釧路間を選んでいるという。

筆者は、これまで札幌〜稚内間、札幌〜網走間、札幌〜釧路・根室間は、北海道の発展にとって、絶対に廃止してはならない路線として訴えた。ところが、絶対に廃止してはならない区間が“廃止の対象"になっているのだ。筆者は、大変驚くとともに、道庁や国会議員は何を考えているのかと思った。

要するに、国は北海道開発費として、膨大な国費を北海道に投入しているが、それが果たして有効に活用されているのかという疑問である。本州の納税者は、当然のことに、北海道の発展にとって、最低限必要な所に国費を投入していると思っている。例えば、交通網の整備、河川整備、港湾整備、農地改良などである。交通網の整備では、道路網の整備だけではなく、鉄道と一体になった整備を期待している。ところが、現実には道路網だけを整備して、鉄道の整備には一切国費を投入していない。これでは、はっきり言って、納税者に対する裏切りである。

そもそも、JR北海道は、1987年の国鉄分割民営化の際、鉄道事業では黒字を出せないので、国から6822億円の経営安定基金を与えらて、その運用益で赤字を穴埋めする計画であった。しかしながら、鉄道事業の営業利益は87年度が535億円の赤字、2014年度は414億円の赤字で、とてもじゃないが長期間にわたる赤字を穴埋めする状況に至らなかった。だからこそ筆者は、これまでもJR北海道の路線維持に対して、北海道開発予算約五千五百億円の一部を投入するべきと訴えているのだ。