アイスホッケー日本代表の弱体化の背景

今、定期購読のアイスホッケー雑誌「ブレイクアウェイ」(89号、5月31日発行)を読み終えたので、久しぶりにアイスホッケーを取り上げる。雑誌の主要な内容は、4月末に開催されたアイスホッケー男子の「世界選手権ディビジョンⅠA(2部相当)」であるが、日本は韓国にも初めて敗れ、5戦全敗の最下位に終わった。その結果、来季はⅠB(3部相当)に降格するが、日本が「世界3部」に落ちるのは、1997年に当時のCグループに所属して以来のことだ。しかしながら、この事実を知っている人は、アイスホッケーファンだけで、ほとんどの人は知らない。何故なら、マスコミがほとんど報道しないからである。

そこで、何故に日本代表がこれほど弱体化したのか、そしてこの屈辱から如何に這い上がるのかを、筆者なりに検討した。

雑誌の中では、アイスホッケー専門家などが「抜本的な日本の男子アイスホッケーの変革は、資金的な改善なしにあり得ないというべきだろう」とか、「シーズン中に各国代表と対戦するのは難しいと思われるが、欧州に遠征して強豪クラブチームと親善試合を行うというような方策はないものか」など書いている。つまり韓国は、18年平昌五輪を見据え、国を挙げて強化しているが、日本は資金がないので、なかなか強化が進まないと訴えているのだ。

そもそも、日本のアイスホッケー界は、古河電工雪印西武鉄道がチームを廃部したので、仕方がなく韓国、中国、ロシアのチームを交えて「アジアリーグ」を設立した経緯がある。それを考えると、そう簡単に資金が集まるとは考えられないが、諦めてはいけない。雑誌の中で、スポーツ専門家が「ソフトバンクが、バスケットボールの選手登録者数63万人をターゲットに、4年120億円(推定)のトップパートナー契約を結んだ。アイスホッケーも、登録者数が2万人弱であるので、年間1億円ほどの放映権料が発生してもおかしくはない」と書いているように、何らかの方策はあるハズだ。何事も、アイデアと工夫である。

最後は、テレビの影響力を考えると、公共放送「NHK」に対して一言いいたい。以前にも言ったが、約20年前までは、インターハイ決勝もNHK教育テレビで放送されていたので、「再び、高校決勝を放送して欲しい」と、NHK記者やNHK本部にも要望したが、未だに実現していない。五輪種目である以上、日本選手権、大学選手権、高校選手権の決勝は、民放が放送しなければ、NHKが放送することは当然のことである。

一方、野球競技に対しては、余りにも“迎合し過ぎ"と思う。例えば、大学野球の“早慶戦"は、民放が放送しているにも関わらず、NHKでも放送している。確かに、昔の“早慶戦"は盛り上がったが、今は早慶関係者しか関心がない。それを考えると、NHK職員には早慶関係者が多いから放送しているのか、と勘ぐってしまう。更に、高校野球は、一回戦から全試合放送しているが、これも民放が放送している以上、NHKが全試合放送する必要がないと思う。

今でもNHKは、盛んに“公共放送"と広報している。そうであるならば、“日陰の団体球技"を応援することは、公共放送の一つの務めではないのか。その意味で、是非ともインターハイ決勝を、遅きに逸しているが、放送して欲しい。日本の国民にアイスホッケーの素晴らしさを伝えないで、素質のある子供がアイスホッケーに取り組むハズがない。そして、企業も出資するハズがない。アイスホッケー日本代表の弱体化の背景には、絶対に“NHKにも責任がある"と考えている。

さて、日本代表選手諸君よ!、9月には平昌五輪の最終予選(日本、ドイツ、ラトビア、オーストリア)がある。是非とも、自らの力で五輪出場を勝ち取って、アイスホッケーの認知度を挙げて欲しい。それしか、マスコミを動かす方法が見つからないのだ。