JR北海道の赤字幹線鉄道をどう維持するのか

いよいよ、来年3月に北海道新幹線が函館まで開業するが、その祝賀気分中で、JR北海道の動きが慌ただしい。その一因は、JR北海道による第三者機関「JR北海道再生推進会議」が提言(6月26日)した内容にある。

その内容とは、輸送密度(1㌔当たりの1日平均輸送人員)が500人未満の7路線8区間を不採算路線として指摘、JR北海道は順次廃止するよう提言している。不採算路線とは、北海道医療大学新十津川(81人)、新夕張〜夕張(117人)、深川〜増毛(142人)、滝川〜新得(277人)、苫小牧〜様似(298人)、名寄稚内(405人)、釧路〜根室(436人)、東釧路〜網走(466人)の路線である。

その影響が、既に出ている。今年2月の高波による線路被害で、一部区間が不通になっている日高線(苫小牧〜様似)である。JR北海道は、必要最小限な対策だけを施工して約26億円と公表したが、一向に復旧工事が始まらない。今月14日には、北海道知事が視察しているが、ネットで現場写真を見た限りでは、線路を山側に移動しなければ、抜本的な解決は出来ない感じだ。JR北海道の本音は“廃止"だと思った。

更に、根室線(滝川〜根室)の芦別と赤平という“市制駅"が、この10月から無人化する方向で調整中とのこと。つまり、滝川〜新得間の廃止に向けた“前触れ"ではないのか。

しかしながら、採算が厳しくても、絶対に廃止してはならない路線はあるはずだ。それは、北海道の枝葉の幹線鉄道で、札幌〜稚内、札幌〜網走、札幌〜根室である。稚内樺太、網走はオホーツク海根室千島列島を目の前にした国防の拠点で、将来的には経済や観光の拠点になる都市である。

それでは、赤字路線を維持・管理するためには、どのような政策があるのか。北海道には、毎年5千億円以上の開発予算が支給されているが、この資金を“廃止路線候補"に注ぎ込むべきである。つまり、稚内名寄、釧路〜根室である。無駄な公共事業よりも、ずーっと重要な投資である。

北海道では、依然として、無料の高速道路「高規格道路」を過疎地にまで建設して、鉄道経営を圧迫している。鉄道は、運行の定時性や輸送力の面でバスに置き換えられるものではない。そして鉄道廃止は、地方住民の不便を強いられるもので、地方部の切り捨てにつながる。その意味で、北海道は30年後、100年後の交通ビジョンを持って、鉄道の廃止と高規格道路の建設を推し進めて欲しいのだ。