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「緑のオーナー制度」裁判で考えたこと

大阪地裁は9日、国有林の育成に出資し、木材販売収益の分配を受け取る林野庁の「緑のオーナー制度」を巡って判決。判決では、元本割れのリスク説明が不十分だったと指摘、出資者ら239人が国に出資総額約2億5000万円を含む約5億円の賠償を求めた訴訟に対して、説明義務違反(1993年8月までのパンフレットには元本割れの可能性の記載がない)があった84人に計9100万円の賠償を命じた。

実は、我が輩も1993年1月に1口(50万円)で購入、2010年に約15万円で売却、つまり約35万円の損失をした。この「制度」は、林野庁が1984〜99年、延べ8万6000人から総額492億円を集めたが、これまで平均配当額は1口31万3000円で、95%が元本割れになっている。

我が輩が購入した理由は、営林署に勤めていた父親から「日本の森林育成のために購入してはどうか。だが、ヒノキやスギの価格は、今より下がる可能性がある」との説明を受けたからだ。我が輩は、北海道の森林のお陰で成長したことから、日本の森林育成に微力ながら協力したいと考えて購入した。であるので、将来の利益を期待したものの、日本の森林育成に協力している喜びの方が大きかった。

2002年から入札が始まると、新聞各紙は「元本割れ続出」という記事を掲載し始めた。我が輩は当時、購入者の多くはリスク覚悟で、日本の森林育成に協力したいという人が多いので、新聞が大騒ぎするほど、購入者は動揺していないと考えていた。ところが、今回の新聞報道で、15口(計750万円)も購入した人がいることを知り驚いた。

はっきり言って、この「制度」、色々と問題がある。我が輩の場合、2010年に四国営林局から契約延長の意向確認の用紙が郵送されてきたので、“スギの成長は十分ではない"と考え、契約延長の希望を郵送した。しかし後日、同局から持ち分のオーナー全員(50人)の了解がないので、契約期間延長ではなく、売却になったとの通知がきた。

我が輩、さっそく四国営林局に電話し、担当者と話しをした。その際の内容は次の通り。

私「売却するスギは、まだ切り出すまで成長していないのではないか」

四国「その通りです」

私「それなら売却は、もう少し後にするべきだ。それに、時間が経てばスギの価格も上がる可能性がある」

四国「1人でも契約期間の延長に反対すれば、売却することになります。それは契約書に書かれています」

私「そのようですね。でも、それおかしくないですか。1人でも契約延長に反対すれば、少しでも高く売れる時期を選べないのではないですか」

四国「自分もおかしいと思うが、契約書がそうなっているからしょうがないです」

私「オーナーになった人、田舎の山林をどうにかしたいと考えた人が多いと思います。こんなに売却価格が少ないと、田舎を応援したい人にとっては裏切り行為だと思います」

四国「わかっています。ですから、心苦しいのです」

私「だいたい、金融商品の知識もない林野庁が、こんな商品を売り出すから問題になるのだ。もっと知恵がある財務省とか、証券会社などに相談すれば、こんな惨めな結果にならなかった。今度、上京した時には、林野庁の担当者に我が輩の見解を伝えて欲しい」

四国「わかりました。どうも、すみません」

我が輩、民間の資金を導入して、日本の森林を育成・生産する政策は素晴らしいアイデアだと思う。しかしながら、林業のような長期的なリスク商品を販売する場合、財務省や銀行・証券会社を巻き込まないと、今回のような裁判沙汰になる。新聞紙上では、林業専門家が「国は収益を追求する経営ではなく、税金を投じてでも自然を守る維持の施策をとるべきだった」との意見が掲載されていた。だから、もう一度、マトモな商品を販売して欲しい。そして、田舎の森林を成長産業に押し上げて貰いたい。