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中国共産党独裁体制は既に崩壊過程にあるのか?

1992年頃、日本の新聞に「米国のCIAは、20年後の中国を予測した。それによると、中国共産党体制が崩壊して、3〜4つの国家に分裂する可能性が高い」という記事であった。それ以来、筆者は中国共産党の動向に注目してきたが、未だに中国共産党体制は崩壊していない。しかしながら、その前兆は出始めてきたのではないか?

その最大の要因は、最近、中国において暴動とテロが相次ぐ新彊ウイグル自治区での動きではないのか。習近平体制は、以前から重大な脅威として汚職、環境、テロを挙げており、特にテロ対策のために膨大な予算を執行している。そこで、現代イスラム政治研究者の著書「イスラム 中国への抵抗論理」(著者=宮田律)を読んだ。先ずは、ウイグル人の歴史を紹介したい。

ウイグル人はトルコ系民族で、宗教的にはイスラムを信仰する。

新彊ウイグル自治区は、「トルコ人が住む東の国」、すなわち「東トルキスタン」とトルコ系民族から呼ばれる。「新彊」の意味は、「新しい境界」、または「新しい領土」の意味である。

○研究者の間では、ウイグル人の起源を744年から840年まで存在した「ウイグル帝国」に求める場合が多い。

○10世紀からイスラム王朝が繰り返しこの地域に侵入したこともあって、ウイグル人たちは次第にイスラム化し、15世紀半ばには仏教からイスラムへの改宗が完結した。

○1759年、清朝東トルキスタンに攻め入り、ウイグル人たちは抵抗するも清朝が崩壊する1912年まで鎮圧されてきた。

○1933年から34年にかけて、ウイグル人の独立国家「東トルキスタン共和国」が成立した。1930年代と40年代に独立国家建設を目指すも失敗する。

清朝支配下の名称であった「新彊」は、1955年に正式に「新彊ウイグル自治区」となった。その後、政治や行政の実権は漢人が掌握し、「自治区」とは完全に有名無実なものになった。

以上のような歴史の中で、2009年7月5日に同自治区の区都・ウルムチで発生した漢人ウイグル人による流血の騒乱が、両者の亀裂を決定的なものにしたようだ。150人以上が亡くなり、800人余りが負傷した事件である。

この事件では、トルコのエルドアン首相が、7月9日のイギリスBBCの取材に対して「我々とウイグル人は兄弟だ。事態の進展に悲しみと焦りを感じている」、「中国政府がただちに、人権問題で国際的な基準に合致する措置をとることを希望する」などと発言した。

中国共産党によるウイグル人弾圧と植民地化は、ますます旧ソ連中央アジア諸国の影響やイスラム過激派の思惑と絡んで、中国共産党一党独裁体制への脅威になっている。中国は、ウイグル人の「分離主義、テロ」を強調するが、それはウイグル人たちへの人権抑圧に正当性を得るためである。しかし、世界中がこの問題を注視している以上、いつまで中国共産党による“真実隠し"のプロパガンダが成功するのか疑問である。いずれ、その欺瞞性が明らかになることは、時間の問題になってきた。