国立競技場の立て替えをめぐるゴタゴタの行く末わ?

現在の国立競技場は、いよいよ7月から解体工事が始まり、2019年3月には新国立競技場として完成する予定。そして、19年秋にはラグビーのワールドカップ(男子15人制)、翌20年には東京オリンピックの会場として使用される。吾が輩のようなスポーツ大好き人間には、たまらない年月になりそうだ。

そうした中、最近になっても、国立競技場の立て替えに異議を唱える人たちがいる。例えば、日本建設協会、建設界の「超大物」2人、大手新聞社などである。それらの人たちは、現在の国立競技場が突貫工事で完成・老朽化が進んでいる事、バックスタンドが増設され継ぎ接ぎだらけの事、9レーンが必要とされる陸上トラックも8レーンしかない事、収容人数5万4千人は国際オリンピック委員会陸上競技場の基準に定める6万人に満たない事、等々を理解しているのか?国立競技場の改修案が採用されても、立て替え費(1800億円)の半分の資金が必要であるらしい。そうであるならば、以前から指摘しているように“欠陥競技場"を立て替えた方が、断然経済的である。

最近、国立競技場の立て替えに異議を唱える人たちが出版した「新国立競技場、何が問題か」という本を読んだ。本の内容は、昨年10月11日に開催(会場に400人、モニター会場に300人)されたシンポジウム「新国立競技場案を明治外苑の歴史的文脈の中で考える」での発言を取りまとめたものである。

本を読んでいくと、26頁に超大物建築家が「多くの競技、例えばサッカーもラグビーも雨天でも行うスポーツであるから必ずしも全天候型である必要はない」との一文に出くわし、驚いてしまった。なぜ故に、屋根付きの競技場を否定するのか。

国立競技場の試合の中には、一年間の総決算であるサッカーやラグビーの決勝戦や、生涯1回だけの少年少女などの大会もある。という訳で、選手は最高のグランドコンディション、観客は風雨に影響されない席での観戦を望んでいる。それなのに、この発信!

発言者は、雨天時の試合でずぶ濡れになって観戦したことがあるのか。日本は、欧米に比べると雨が多く、たびたび雨天でのビッグゲーム開催となっている。どうも日本は、野外での観戦を楽しむ気候が少ないようで、それが野球やサッカー以外の野外競技での観客動員数に影響を与えている感じがする。

吾が輩が訴えたいのは、ビッグゲームを雨風の中で開催することは、20世紀で終わらせて欲しいという事。例えば、1月10日前後に開催される大学ラグビー決勝戦、この日前後は成人式でもあるので、以前には若い女性も晴れ着姿で詰めかけていた。ところが、最近は余り見かけなくなった。もう一度、このような若い女性を国立競技場に呼び寄せたい。そのためには、どうしても雨風に影響されないで、安心して観戦が出来る競技場が必要である。

最後に、新国立競技場建設に異議を唱えている人たちの意見も取り上げたい。どうも、新国立競技場のコンペには、大いに問題があるようだ。主催者の一人は、

「今回のコンペの発表の仕方に、非常に疑念を持つんです。ある種の情報操作があったのではないかと。なぜならば、当選作品が決まったあと、一番最初にお見せしたような、一枚の絵だけしかわれわれは見ていない。メディアもそれだけを絶えず出している。メディアもそれ以上の情報が与えられていない。そういうことが目につくんです。」

と発言している。

確かにそうだと思う。しかし、時間が限られている以上、ここは風紀を乱さない、屋根付き、正面スタンド前のトラックは追風、ラグビーでのインゴールが十分取れる、等々を考慮した素晴らしい競技場を完成させたい。いずれにしても、ここは推進派も反対派も譲るところは譲り、是非とも計画期間中に完成させてもらいたいものである。