日本のアイスホッケーの現状を憂いて

全国高校アイスホッケー競技選手権大会(八戸市)の決勝が、1月24日に行われる。と伝えても、誰も関心を示さない。それは、新聞やテレビが、アイスホッケーの記事を掲載しないからである。

実は、20年くらい前までは、NHK教育テレビで決勝戦を放送していた。しかし、最近は、主に実業団チームが戦う全日本選手権大会の決勝しか放送していない。アイスホッケーは、立派なオリンピック種目であるにも関わらずである。

オリンピック種目であるサッカー、バレーボール、バスケットボールの球技種目は、毎年正月前後に全国高校選手権大会が開催されている。ラグビーも同時期に開催され、いずれも1回戦から民放テレビで放送されている。その他のオリンピック種目であるホッケー、ハンドボール水球などは、夏のインターハイが3年生最後の全国大会になる。

しかしながら、アイスホッケーの場合、インターハイの開催が、例年1月末であるので、テレビ放送は出来るはず。決勝戦を放送しないのは、注目度が低いためではないか。それしか考えられない。だが、NHKは公共放送を謳う以上、スポーツに対しても“公平性"に努めるべきだ。

アイスホッケー界の現状を放置すれば、ますます国民からの関心が薄れ、必然的に北海道(主に苫小牧市釧路市)の子供たちも競技から離れてしまう。それは日本代表の弱体化に繋がり、ますます国民の関心から離れてしまうという、まさに負のスパイラルに落ち陥る。それが、アイスホッケー界を取り巻く現状である。

昨日、東京のNHKに電話をして「決勝戦を放送して欲しい」旨の要望をした。しかし、この10年くらいの間、2回ほどNHKに電話をしたり、知り合ったNHK記者に要望を伝えたが、一向に放送される気配がない。

明るい話題として、女性日本代表が、ソチオリンピックに出場する。そこで昨年11初旬、スイス、ドイツ、スロバキアチェコを招いて強化試合を行ったが、NHKは練習試合にも関わらず、NHKBSで日本戦4試合全てを放送した。NHKは、練習試合を4試合も放送して、なぜ高校生の最高の試合を放送出来ないのか。

実は、最近の高校決勝戦は、とても面白い試合が続いている。以前は、駒大苫小牧の独壇場であったが、ここ5年間は白樺学園(帯広)が力をつけ、好ゲームを展開している。昨年末の北海道大会でも1−0で駒沢が勝利しており、今年も両校が決勝を戦い、好ゲームが展開されると思う。だからこそ、NHKには放送してほしいのだ。

私がアイスホッケーの事を取り上げるのは、15年前から7〜8年間、アイスホッケーチーム「日光アイスバックス」(旧古河電工)の存在と経営に関わったからである。その時、アイスホッケー界の“厳しい現状"を知り、更に昨年9月に出版された書名「アイスタイムー鈴木貴人日光アイスバックスの1500日」の中でも、依然として厳しい経営環境にある事を明らかにしている。著書によると、2010年度予算収入は2億4000万円、負債は2億円(5年で返済予定)、選手の年俸総額は7000万円。その結果、原文を引用すると、

「選手の属するクラスをA、B、Cの3つに分けた。最も価値のあるAが年俸600万円以上、Bが300万〜600万、Cが150万〜300万円。…かりにAに3人を入れたとして、1800万円。もっともボリュームの多いBに15人。するとCに4人から5人を入れなければならない」

と書かれている。この金額が、アジアリーグに参加しているチームのプロ選手の給料です。だからこそ、精一杯応援したいのだ。

今後も北海道出身者として、アイスホッケー発展のために発信して行きたい。皆様方の理解と応援を期待します。