全国高校駅伝大会とケニア人留学生

本年開催の「男子第64回全国高校駅伝大会」は、長い歴史の中でも最高のレースであった。最後は、4校のアンカーが一団となって競技場に入り、残り200㍍でスパートした山梨学院大付が優勝したからだ。更に、日本人だけのチームが優勝したので、なおさら感激した。最後の最後まで争う事になった最大の要因は、4位に入った世羅(1年生)のケニア人留学生が不調であったからだ。

まずは、ケニア人留学生が大会に及ぼした経緯を紹介する。初出場は、92年の仙台育英高校で、翌93年には男女とも2人のケニア留学生を起用してアベック優勝、全国的な議論となった。それを受け、95年から外国人留学生の出場は1人のみになり、必然的に一番距離が長い1区(10㌔)に起用。その結果、2007年までの15年間、外国人留学生が区間賞を獲得。そして08年の大会からは、外国人留学生の1区起用は禁止、現在は2番目に距離が長い3区(8.1㌔)に起用されている。

今大会で、ケニア人留学生を起用した高校は、札幌山の手青森山田、世羅の3校で、以前からは減少傾向にある。ところが、優勝しそこなった世羅は、県立校であるにも関わらず、留学生を起用している。同校は、50年の第1回大会で優勝した学校で、駅伝チームとしては“名門中の名門"である。02年からはケニア人留学生を起用し、06年と11年にも優勝しているが、留学生の生活費は、誰が負担しているのか。多分、広島県か世羅町(人口約17000)であろう。と言う事は、公金で迎え入れているのか。

要するに、勝つためには、どんな手段でも使用すると考えているのか。大まかに言えば、ケニア人留学生と日本人選手では、10キロ走って1分30秒前後の差、距離にしたら約500㍍の差が出る。これだけ走力に差があると、テレビ観戦しても全然面白くない。そのため、わが輩のような熱烈フアンは、この20年間、激しい怒りと失望の下で過ごしてきた。

実は、多くの高体連関係者も、ケニア人留学生が長距離区間に起用される事には反対している。それならば、なぜゆえにいつまでもケニア人留学生の出場を認めるのか。外国人留学生は、他の競技でも増えているが、長距離ほど差が大きな種目ない。

わが輩のような駅伝フアンは、大会に出場した選手の将来を見つめている。有力な選手は、来年以降は箱根駅伝、更にその後はオリンピック出場を目指す。だからこそ、有力選手の高校時代の姿を確認するために、テレビ放映を録画したりする。しかしながら、ケニア人留学生が出場し出してからは、長距離区間はケニア人留学生ばかりがテレビ画面に出る事になった。

今大会、優勝したチームの4区を走った選手、左目が見えない。双子で、予定日より約2カ月早い未熟児で生まれた事で、網膜剥離で左目の視力を失ったとの事。フアンは、このような選手の活躍を目に焼き付けたい。

いつまで、素性のわからないケニア人留学生を出場させるのか。今の状況は、外国人留学生と言うより“助っ人"ではないのか。名ばかりの留学生で、少しも教育的な配慮が感じられない。大会は、日本の大事な伝統・文化であり、一部高校のエゴによって、大事な大会をぶち壊してもらいたくないのだ。