続・JR北海道を考える

7月19日付けで「JR北海道が心配だ!」を書いた。その後、不祥事が出るわ、出るわの事態になり、組織のいい加減さが暴き出された。つまり、組織の体を成していないのである。その原因は、JR総連傘下のJR北海道労組にもあるが、今回は触れない。

今回は、もう一つの問題点、経営面について書きたい。この問題は、JR北海道をどうするのか、更に北海道をどうするのか、と言う問題に繋がっている。

そこで一つの提案。それは北海道の道路建設費用の何割かを、線路の建設や維持費に回せないかと言う事である。その資金で、直線的に線路を新たに建設するのだ。

朝日新聞によると、道内の高速道路の距離は、1987年の167㌔から約1015㌔に拡大。JR北海道の総乗車距離(乗客数×利用距離)は92年度の48億6900万人㌔をピークに右肩下がりと報道している。

この25年間、北海道では、どんどん公共事業で高速道路を建設して、見る見るうちに乗用車の方が特急電車より早く目的地に到着する事態になった。道都・札幌市から稚内市網走市釧路市函館市に向かう鉄道は、北海道の骨格なので廃止する訳にはいかない。そのため、是非とも札幌との時間短縮を実現したい。

先に紹介したが、今では道内各市町村と札幌市との距離が驚くほど短縮している。例えば、遠軽町から特急電車で3時半で、乗用車も同じくらい。更に遠軽町から旭川市までは、高規格と言う高速道路なので無料。また、釧路市からの特急電車は、11月から最高速度が110㌔に抑えられたので、共に4時間台という事態。これでは、ますますお客の列車離れを起こす。

そこで、具体的に提案。例えば、根室本線の池田駅から白糖駅までの線路を新たに建設する。両駅間は直線で約50㌔、現在の営業距離は約77㌔であるために約70分かかっている。今月21日発売の「鉄道ジャーナル」では、その両駅間の紀行文が掲載されている。

「内陸から太平洋岸に出る池田以東は曲線が格段に増え、連続する。エンジンは鳴ったり止んだりを繰り返し、速度は80〜90㌔を前後する区間が増える。それでも振子車両ならでは、曲線の入口、出口で前後車両の貫通路が大胆に交錯する。元来が緩い地盤のせいだろうか、座っていても小刻みな振動を感じる。…池田から1時間10分を経て白糠に到着」

新たに直線的に線路を建設すれば、この間を30分で結べる。JR北海道は、時間短縮のために車両性能以上の速度で営業し、その事により数多くのトラブルを起こした。朝日新聞は「例えば国鉄から引き継いだディーゼル気動車『キハ183系』の最高時速を民営化当初の110㌔から130㌔に上げた。キハ183系はJR九州でも現役だが、時速100㎞以下でしか走らせていない」と報道している。

最後の締めである。要するに、JR北海道は民間会社として自立できない事がはっきりした。であるならば、小手先の経営安定基金約7300億円の運用益で赤字補填させるのではなく、もっと全面的に国は経営に関わるべきだ。現在の形だけの民間会社で残すにしても、以前の国有会社に戻すにしても、国が関わるしかない。それが北海道の現状だ。